はじまりの詩 4

ヘリがバノーラ村に降り立ち、三人はヘリから降りて歩き出した。
奇妙に曲がった、村へ続く木のアーチをくぐりつつ、ザックスがぼそりとつぶやく。

「…変な木」

ザックスの呟きを耳ざとく聞きつけたツォンが答えた。

「バノーラ・ホワイトの木だ。通称、バカリンゴ」
「バカリンゴ…ってことはここはバノーラ村!?アンジールの故郷!?」
「資料に書いてあったでしょ?読んでないの?」

レンガの問いかけに少し照れくさそうにザックスは笑う。
明らかに読んでいない、というザックスの顔に、レンガはまた溜息をついた。

「ジェネシスとアンジールは昔からの知り合い、というわけだ」

ツォンの一言を、ザックスは複雑そうな表情で聞いていた。

 

三人が先へと進むと、少し開けた広場があり、大きな屋敷のような建物が建っていた。
広場へ到着すると同時に、ジェネシス・コピーが現れる。

「こいつら、ウータイにいた連中!?」
「やはりこの村にいたか…」
「村人の姿がないのも気になるよね、占拠されてる可能性もある」
「ジェネシス達は大量の兵器と一緒に姿を消した。一刻も早い回収、または破壊が社長のお望みだ」
「よし、任せろ」
「りょーかいっ♪」

軽く受け答えたレンガに飛びかかってきたコピーを、すかさず回し蹴りで蹴り飛ばす。
ザックスは支給の剣を構え、襲いかかってくるコピーを容赦なく切り伏せる。
コピーを片付けて、屋敷へと視線を向けると巨大な兵器…ガードスパイダーが起動したところだった。
ザックスはにやっと笑うと、剣を構え直す。

「社長の望み、かなえましょう!」
「あっ、ザックス待って!」

手柄を立てられると思ったのか、目を輝かせてザックスはガードスパイダーに飛び込んで行った。
話に聞いていたとおりの子犬っぷりに、レンガは少しだけ肩を落としたあと、ガードスパイダーに向かっていった。

 

「……ザックス?」
「あれはお前が悪い」
「……悪かった」

あの後、考え無しに突っ込んでいったザックスは、磁場フィールドをまともに食らってしばらく意識を失い、倒れていたのだ。
レンガがいたお陰で破壊はできたものの、目覚めたザックスは野外にも関わらず正座をさせられ、ツォンとレンガから説教を受けていた。

「これからは自重しようね?」
「……分かった」

ザックスがしびれた足を揉みほぐしていると、レンガがこっちこっちと手招きをしていた。
レンガの視線の先には、先程叩きのめしたジェネシス・コピーが倒れていた。

「ジェネシス・コピー……」
「その言葉をどこで?」
「レンガに聞いた」

ツォンがザックスの呟いた言葉に素早く反応すると、ザックスはあっさりと答える。
ツォンは眉をしかめ、レンガへ視線を移すと、レンガは「ぼくはホランダーから」と口だけ動かして答えた。

「この技術も、我が社の科学部門から盗まれたものだ。
ジェネシスの能力と特徴をコピーすることができる技術らしい。ソルジャーと、モンスターだけにな」
「ソルジャーとモンスターは同じかよ……」

顔をしかめたザックスを、レンガは心配そうに覗き込んだあと、ツォンへ視線をうつした。
ツォンは相変わらず無表情だ。

「ザックス、ほら、行くよ?」

ザックスの裾をくいくいと引っ張り、レンガはバノーラ村への道を指差す。
ああ、とザックスは小さく頷いて、バノーラ村へと歩き出した。

 

後書き
ブランクのせいでよくわからないものになりました。
正直な話、CCから始めたのはレンガと、レンガがいる状況でのセフィロスを本編での最後、
そしてレンガの本編での行動理由のために書く必要があっただけで、
ザックスの話を書く必要はあまりないんですよね!←ひっでぇ
まぁ始めた以上書き切りますが。
書ききるつもりではいますが。
…うん、書ききるつもりです。

by氷紅