終焉のChronicle

私は信じられなかった。この世界で、私の予言を超える者が現れるなど。

「反逆者ルキウス、逃亡者イリア。そしてふたりの子、黒の神子ルキア……」
 
彼女らの行動は、私の予言に沿ってはいたものの、私の予言そのものからは外れた行動ばかりだった。
私はそれが許せなかったと同時に、嬉しかった。私にも、見えない未来、見えない扉があるのだということを。
 
かつて人形だった私は、すべてを否定した。この旧世界を憎んだ。
 
『未来よ、黒い秩序よ、終焉の洪水よ……嗚呼ノア、嘘吐きクロニクル、早く何もかも
終わらせて……』
 
かつて傀儡だったあの子たちは、すべてを肯定した。生まれてくる新世界を愛した。
 
『やがて君達の世界にも終焉が訪れるだろう……それでもどうか、諦めないで……君を愛している……』
 
全てを許し、受け止めたあの子たち。
全てを否定し、拒絶した私。
 
「あの子たちのことを私が予想できないのは当然ね…」
 
私はふっと息をついた。持っていた最後の予言書を置く。
もう、この予言書は必要ないだろう。旧世界は喰らい尽くされたのだから。
 
「旧世界をあんなに憎んでいたのに、こんな予言書を書くなんて……旧世界に捕ら
われていたのは私の方だったのかしら」
 
何もない、喰らい尽くされた真っ白い世界。これから新世界は生まれてくる。
 
「幾度となく誕生と消滅を繰り返す世界……全ては予定調和の内のはず、だった。
あの子たちのおかげで、繰り返される世界は終わり、きっと本当に新しい世界がやってくる。
私の意思を打ち破ったあの子が愛した子どもたちに、最後の贈り物をしてあげましょう」
 
私はひとつの予言を遺した。美しく、醜い世界をその目に映し続ける子どもたちに。
 
 
新たなる地平へ、次の地平線へと疾ってゆきなさい……

 

あとがき
わ け わ か め ! サーセン。
えー、これは私のクロセカの世界に対する答え……のつもりです。
わからなくてもやもやするって方は補足説明ページを作ってあるのでそちらを読んでください。
ここからでも、思いついたものページからでも行けます。

by氷紅

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