イドに至る

あるところに、寂れた村に住むひとりの少女がいました。
名を、エリーゼといいました。
エリーゼは、毎朝家のそばにある井戸から水を汲んでくるのが仕事です。
今日もいつものように、水を汲もうとエリーゼが井戸へ行くと、井戸の側に一人の男が立っていました。
男はとても背が高く、黒ずくめで、明らかに不審者でした。
しかし、エリーゼは純粋だったので、ごく普通に井戸と男に近づき、水を汲むと、男にあいさつをしました。

「こんにちは」
「こんにちは、お嬢さん。君の名前をうかがってもいいかな?」
「私はエリーゼです。お兄さんはなんていうんですか?」
「Eleseか……。良い名前だね。私はイドルフリート・エーレンベルク。イド、と呼んでくれ給え」

イドは小さく笑いました。
笑ってはいましたが、周りの雰囲気が暗くなったように、エリーゼは思いました。
その暗さが、いつも覗いている井戸の底の暗さにそっくりだったので、エリーゼはいいました。

「イドお兄さんは、井戸の精なの?」
「井戸の精?はっはっは、面白いことをいうね。Elese、それはある意味で間違っていないよ」

イドはいいました。
エリーゼはイドの言っている意味がよくわからず、首を傾げました。
イドはずっと微笑んでいます。

「私は井戸の底の暗闇でもあるし、君たちの無意識の闇でもある。
Elese、君の中にも私はいるし、そこの井戸の底にも私は在る」

イドの話はどんどん難しくなっていきます。エリーゼはよくわからなくなってきました。
エリーゼがぐるぐるしていることすら、イドには楽しいことのようで、ずっとイドは笑っていました。

「エリーゼー!どこにいるんだー?」
「あっ……、私、もどらなきゃ」

水を抱えたエリーゼが、来た道を振り返ると、イドはその頭にぽんと手を置きました。
エリーゼのさらさらの髪がくしゃくしゃにされます。

「最後にひとつ、覚えておきなさい。Elese……童話は何時だって墓場から始まるものさ……」
「え?」

エリーゼがイドを振り返ると、イドはもうそこにはいませんでした。
エリーゼのくしゃくしゃになった髪と、いつもより少し暗い森の雰囲気だけが、イドがいたことを示していました。

「エリーゼ!なんでこんなところに?」

ぱたぱたと、エリーゼを見つけて駆け寄ってきた少年はいいました。

「えっと……水汲みに来たんだけど、イドって人に会って……」
「水汲み?何言ってるんだよ、井戸は逆側じゃないか」
「えっ……?」

エリーゼは毎朝来ている井戸に来たつもりでした。
しかし、エリーゼがいたのは、村の外れの森の中でした。
もちろん、森の中に井戸はないのですが、エリーゼの持っていた入れ物は水でいっぱいになっていました。

「でも、さっき井戸があって、イドっていうお兄さんが立ってて、私、水を汲んで、話までしたのに……」

エリーゼは背筋に寒気が走りました。
さっきまでエリーゼが話していたのは誰だったのでしょうか。
そして、エリーゼの手元にある水はどこから汲まれた水なのでしょうか。
それがわかるのは、また別のお話。

 

あとがき
スーパーフライングイド!www
この小説は99.9%の妄想で出来ております。
イドのフルネームは陛下のサイトのエイプリルフール企画ページから。
Eleseはドイツ語読みだとエリーゼ、英語読みだとエリスになるらしいですね。
なんという楽園。楽園て書いてエルと読む名前の人がいるらしいですね。←関係ない
6月16日が楽しみでしょうがないです(^q^)

追記
ちょ……エリーゼ人形だったのかよ!
妄想&発売前の至りということで勘弁してください。くそ……しっかり調べておくべきだった……
つか、ミク参戦に驚いたwwww
私は陛下が良いと判断したならいいと思いますがね。

追追記
なんてこった……発売してみたらイドの名前はイドじゃなかった……orz
メルヒェン……だと?言いづらい名前しやがって!
しかもエリーゼは人形の方で、女のコはエリーザベト……?一緒でいいじゃねぇか!←ダメだろ
いろいろ間違ってますが、まぁ気にしないでください。
コレ書いたの6/2ぐらいなので。

by氷紅

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